
★世界史観を高めて日本の位置づけを考えさせてくれる一冊
本書は数年前に一度読んで強く印象に残ったが、昨今の世界同時況やオバマ新大統領の登場であらためて国際政治感覚を呼び覚ますため、また頭を整理するために再読してみた。
本書の主張の一つは現代の世界での対立は、冷戦時代のイデオロギー対立から文明間の対立に変わってきたということであるが、私は人間社会に文明が生まれて以降、文明間の対立こそが本質であり、20世紀のイデオロギー対立は世界史のなかでも稀な現象であったと思う。その意味では、文明が一極化しようと多極化しようと、あるいはその混在状態であろうと、それらの間に対立が発生するのは極めて自然な現象であり、ハンチントン理論は素直に理解できる。
本書の二つめの主張であるアメリカのとるべき戦略として、多文化主義に埋没してしまい、米国創設の精神でかつ西欧文明の思想である自由・平等・機会均等・成長信仰・個人主義等の価値観を喪失してしまうことのないように警笛を鳴らし、西欧的アイデンティティ擁護論の立場をとっている。その意味ではハンチントンは真に典型的な米国保守派知識人なのであろう。ただし、そのような独自の価値観を無理に世界に広めて、勃興しつつある非西欧の反発を食らって孤立することのないように、西欧の比較優位な戦略としての一極多極システムの延命(あるいは将来の多極システムを見据えたプレゼンスの発揮)を画策しているのであり、この意味では徹底した現実路線派であるとも言える。
本書の三つめの主張である日本の位置づけは世界から孤...